大判例

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東京地方裁判所 昭和45年(ワ)4221号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(二) 被告ファーストモーターおよび同富士見台オート(の責任)

<証拠>によれば、被告ファーストモーターは中古車の販売を業とする会社であるところ、被告富士見台オートは、被告ファストモーターがその販売業務の一部分を独立させ、それによつて経営の安定と各部門の競争をあおるために設立した子会社で、その経営の全権は被告ファーストモーター代表者野崎豊栄が握り、従つて被告富見台オートは形式上別会社であるものの、実質上は被告ファーストモーターの一部門に過ぎない存在であることが認められる。

次に、<証拠>によれば、本件事故は、被告大島が、被告富士見台オートの指示に基づき、同被告ないし被告ファーストモーターが仕入先の千葉トヨタから購入予定の加害車を陸送中に発生したものであること、被告大島は事故の約一週間前から被告富士見台オートにに詰めて右陸送の仕事に当るようになつたものであるが、その採用の際もまたその後も、自身が被告富士見台オートに雇用されたものと観念していたこと、被告大島はこの間連日定刻に被告富士見台オートの事務所に出勤し、同被告の従業員、および陸送運転者を取り仕切つている訴外小林某(同人の地位については後に判断する。)の指示に基づいて、被告富士見台オートないし被告ファストモーターが購入販売する車両の陸送に当つていたこと、被告大島の他に数人の運転者も同被告同様被告富士見台オート事務所に詰めて同様の仕事に当つていたことがいずれも認められ、右事実によれば、被告富士見台オートと被告大島との法律上の関係はともかくとして、事実上被告大島は被告富士見台オートの指揮監督の下に、同被告の陸送業務に従事していたものと推認される。

被告ファーストモーター代表者の供述も右認定を左右するに足りない。同供述によると、被告ファーストモーターないし被告富士見台オートは、その陸送業務を陸送業者数社に請負わせ、その一業者にアカツキ陸送なる会社もしくはアカツキ陸送こと小林某なるものがあつて、被告大島はその従業員として陸送に当つていたものであるというものであり、被告大島本人の供述中同被告は固定給を受けていなかつたとの部分を併せ考えると、被告大島は法律上は被告会社らの従業員ではないもののように窺われるが、しかし、右代表者本人自身アカツキ陸送が会社組織か小林某個人か定かには知らないというのであり、また被告大島本人はアカツキ陸送なる組織は既に実体がなくなつていると聞いていた旨供述するところから考えると、アカツキ陸送ないし小林某は、被告会社らと対等の立場で取引関係にあるものではなく、被告会社らから陸送運転者の人集めを委ねられると共に事実上被告会社らの指揮監督の下にあつて陸送運転者の管理に当つていたにすぎないものと考えられるのであつて、帰するところ、被告大島は被告会社らの指揮監督下にあつたものとみうるのである。

他に以上認定を左右するに足りる証拠はない。

以上の事実によれば、被告富士見オートは、被告大島が前認定のように継続して被告会社らの陸送の業務に当つている限りにおいて同被告の使用者とみるべきであり、また、被告ファーストモーターは実質上被告富士見オートをその一部門として包摂する存在であり、被告富士見台オートの被告大島に対する指揮監督は、実は被告ファーストモーターのする指揮監督に他ならないから、同被告と共に被告大島の使用者といいうる。そして本件事故は、被告大島がその業務として加害車を陸送中に前認定の過失によつて発生させたものであるから、被告ファーストモーターおよび同富士見台オートはいずれも民法七一五条一項に基づき、本件事故に基づく原告の受傷損害を賠償する責任がある。<中略>

前認定の受傷および後遺症の程度と<証拠>によれば、原告の前認定の入院期間中原告の妻の付添を要し、またその余の期間も事故から過去三年間にわたり常に家族(主として妻)が居合わせて介護に当る必要があつた(ただし常時その傍に付添つている必要があるわけではないから、長時間の外出に差支えがあるものの、家庭内において行なう家事にはさほどの支障はない。)ことおよび右以後将来も右同様の必要があることが認められる。

そしてその損害評価額は、入院中について一日当り一〇〇〇円、その余の期間は右付添の程度に照らし一日当り五〇〇円と認めるのが相当であり、また将来の要付添期間については、本件事故から三年を経た時点を基準として、当時の原告の年令が満五九歳(前出甲第三、第四号証により原告は大正一年一一月五日生と認められる。)であり、その統計上の平均余命が15.92年であることおよび原告の重篤な後遺症の程度に照らし、右基準日以後一〇年間程度と認めるのが相当である。 (浜崎恭生)

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